記憶スケッチ

ギャラリー

腰が曲がるまで長生きしてね!というおめでたい海老ですが、現実はそう甘くありません。この作品の持つ「老人感」は何なんでしょうか。いろいろとよぼよぼ。

これはほぼ正確な記憶のスケッチですね。ヒゲの生え方や全体のプロポーション、目の付き方など素晴らしい記憶力ですし、表現力もあります。しかし最後まで自分の記憶力を信じきれず、無いはずのエビの両手に悲しく光るのは布団を干す時の挟むヤツ。

『種を越えた愛、岩場の上でカマキリの赤ちゃんを高い高いするエビ』というお題ならば高得点間違い無しの力作です。今回はそんな複雑なお題は出てませんが…。エビを直立させようとした心意気、お見事です。

筆圧の高い勢いのある筆使いですが、やはり男性の限界か…エビらしいのは普段目にする事の多い「海老フライ」になる部分のみで、上半身のヤドカリっぽさは筆の勢いだけではごまかしきれませんでした。特に頭がエラい事になってます。お疲れさまでした。

立体感を表すのも良いでしょう。二本の線で動きを表すのも効果的かもしれません。でも、そんなことより眉毛をなんとかして下さい。

記憶の曖昧さが線にそのままあらわれた作品です。記憶の中のエビが思った以上に頼りなく「こんなはずじゃ…こんなはずじゃ…」と筆を走らせてもエビには一筆も入らず、いたずらにワカメが増えるばかりなり。

「エビってなんかモジャモジャしてないッスか?」とかなんとか言いながら輪郭線の内側と外側にモジャモジャを生やしまくった結果がこれですね。頭付近に付いている左右2本づつ生えているモジャが微妙に太くて長いのは、なにかしようとしたのではなく、力の加減が上手くいかなかっただけなのでしょう。

曖昧な記憶のまま自信に満ちあふれた線で描く。口とか目とか足の生え方とか、そんな細かいことは気にしない「ヤリきった感」がこの作品の魅力になっています。両手を上げて疾走するこのエビはきっと作者の自画像なんでしょう。働き過ぎに注意して下さい。

お正月に出てくるボイルしたエビですかね?全体に入った無数の線とつぶらな瞳が茹でられたエビの無念さを感じさせます。ちなみに卵を描き加えてくれたのはこの作品が初めてでした。

尻尾や体の正確さに比べ、顔周辺の記憶の曖昧さが目の泳ぎっぷりにあらわれています。目の下にある口には歯が生えているし、手はハリガネだし…。しっかりしてー!と言いたくなります。

45歳とは思えないちょっとアメリカンなデザインのエビですね。塗り絵にしたら子どもが喜びそう。